原告団の日々の活動

APASL(アジア太平洋肝臓学会総会2024)市民公開講座(薬害肝炎東京原告団 及川綾子)

APASL(アジア太平洋肝臓学会総会2024)市民公開講座(薬害肝炎東京原告団 及川綾子)

1 2024年3月31日(日)に京都国際会議場において市民公開講座を開きました。

参加者は、計100名を超え大盛況でした。
参加者の内訳は、薬害肝炎全国原告団10名、その他、全国B型肝炎訴訟原告団、日本肝臓病患者団体協議会、京都市民、肝臓学会総会に参加している肝臓専門医等です。

この市民公開講座は、患者3団体(日本肝臓病患者団体協議会・全国B型肝炎訴訟原告団・薬害肝炎全国原告団)の有志が企画・立案・実施に至るまで行いました。
今回のAPASL 2024の会長である椎名先生(順天堂大学消化器内科教授)から、日肝協の米澤さんとB型肝炎訴訟原告団の鈴木さんが市民公開講座の開催について依頼され、米澤さんから、薬剤師の石瀬さんと患者の一人として及川に声をかけていただき、4人で何度も打ち合わせをしながら試行錯誤して作り上げていった市民公開講座です。

2 内容

【演題】「油断は禁物、脂肪肝~肝がんにならないために~」
【講演】「専門家に学ぼう!肝臓病治療の最前線!」

  1. 「脂肪肝」高橋宏和先生(佐賀大学肝疾患センター長)
  2. 「肝臓がん」河田則文先生(大阪公立大学医学部肝胆膵内科学教授)

高橋先生は、米澤さんの伝手で、河田先生は石瀬さんの伝手で、講演をお願いしました。
どちらの先生も患者の気持ちに寄り添った肝臓専門医です。

脂肪肝の患者が全国で7万人以上いること、その検査方法や脂肪肝からのNASH(脂肪性肝炎)で肝がんに移行する危険性をお話しくださりました。また、C型肝炎ウイルスが脂質代謝・糖質代謝に大きく関係するという事実は、私たちC型肝炎患者にとって、ドキッとさせられる事実です。肝がんの原因は、未だにC型肝炎(排除後も含む)によるものが圧倒的に多く、経過観察の重要性は、もっと広く啓発しなければならないことです。

肝がんは、初期の発見であれば治療時間も短く開腹手術をしなくても簡単に治療ができること。何年も検査を怠った場合の肝がん治療の大変さも伺いました。また、 肝臓移植と聞くと、私たちは最後の砦のように感じてしまいますが、昔とは違いスタンダードな治療になりつつあるという話も伺いました。

さらに、ボストンからオンラインで繋いで、脂肪肝から肝がん、そして肝臓移植をされた患者さんからの話も大変に興味深かったです。

【パネルディスカッション】

脂肪肝、NASH、肝がん、肝臓移植、B肝創薬について、あらかじめ出されていた患者からの質問を肝臓専門医に答えていただくパネルディスカッションは、和気あいあいと行われました。時間が限られており、会場からの質問を受け付ける時間がなかったことが残念です。

【総合司会を務められた石瀬さん(薬害肝炎大阪原告団)より】

国際学会での市民公開講座企画は、初めての経験でしたが、皆さんに来ていただけて、盛会に終えることができて安堵しています。患者や市民の皆さんに最新の肝疾患医療情報を発信できたのではないかと思います。

【私感】

3団体の患者が中心になり、大規模な市民公開講座を作り上げることは初めての試みでした。同じ肝炎患者として、脂肪肝・NASH・肝がんは共通の悩みでもあります。この大きな課題について、患者自身も専門医から勉強しなければならないことがたくさんあります。

参加した患者からは、「二人の先生の講演やパネルディスカッションの回答がわかりやすさや、先生方の温かい人柄にも好感か持てた」と大変評判が良かったです。
今後も、この課題については、引き続き薬害肝炎全国原告団でも考えていかなければならないと思いました。